「でも、ただメリーゴーランドに乗るだけでクレジット人間としての役目が果たせるの?」




私はそこが疑問だった。

視聴者を楽しませるために乗っているとしても、これを見て楽しむ人がいるだろうか?

そう考えているとクマが小さな端末を取り出してなにかを確認しているのがわかった。




「おぉ~! 生配信を見てくれている視聴者数がどんどん上がってきてるよ! やっぱりみんなこういうのが好きなんだね!」




嬉しそうに飛び跳ねて報告するクマに私は首をかしげる。

本当にこんなことで視聴者が増えてるの?

そう思ったとき、尋が近づいてきた。




「なぁ、なんかスピードが早くなってないか?」



「え?」




メリーゴーランドへ視線を戻すと、こころなしか回転スピードが上がっているようにも見える。

曲のリズムが同じだから気がつかなかった。

メリーゴーランドは確かに早くなっている。




「ほらほら、もっともっと楽しませてあげなきゃ!」