「ただメリーゴーランドに乗るだけだ。そんなに心配すんなって」




男の子が私の肩をポンッと叩いてくる。

私はすぐにその手をはねのけた。

確かに、ジェットコースターに惹かれるような悲惨なことにはならないかもしれない。

だけど、なにを購入したのかによって状況は変わってくるはずだ。

尋のときみたいに手伝いをして終わりというわけではなさそうだから、きっとなにかある。

助けるタイミングがないか思案しながら馬にまたがった由紀子を見つめる。

由紀子は覚悟を決めたようにキツク目を閉じた。

クマがメリーゴーランドの操縦室へ入ると、ガラス窓越しに由紀子が逃げていないかどうかを確認した。

そして……。




「メリーゴーランドスタート!」




と掛け声をかけると共にスタートボタンが押された。

メリーゴーランドからは明るい音楽が流れ出しゆっくりと回転を始める。

由紀子は両手で馬の背中から出ている棒を握りしめている。




「これなら大丈夫じゃない?」




繭乃が安心したような声で呟く。