言ったのは尋だ。

尋は一度負けてクレジット人間になっている。




「それはお前自身が嫌がってなかったからじゃないか? どんな使い方をされたんだ?」




尋は30分間クレープ屋で手伝いをしただけだ。

あのときは今ほど危機感も強くなくて、お腹も空いていたから尋が嫌がるようなこともなかった。




「じゃあ、今回は?」




私は由紀子を見つめる。

由紀子は助けを求めるように何度もまばたきをした。




「さぁ、どうかな?」




男の子が口の端を上げて笑った、その時だった。

どこにいたのかクマがやってきて由紀子の腕を掴んだのだ。

由紀子は咄嗟にそれを振り払おうとするけれど、動きを制御されているせいか途中で腕を引っ込めてしまった。

そのままクマに引きずられるようにして歩き出す。