☆☆☆



なにもできなまま、重たい足を引きずるようにして動物園コーナーへと戻ってくる。




「どうだった?」




智道に聞かれて私は無言で左右に首を振った。

誰も助けてくれない。

それがこの遊園地内での現実だ。

たとえそれが不正に行われたことだとしても、回避できなかった自分のせいにされてしまう。

こんな理不尽なことってあるだろうか。

考えれば考えるほど気持ちが重たくなっていく。




「俺たち3人がここを出るための金をすぐに集めてこい」




ベンチに俯いて座っていた由紀子へ男の子が告げる。

その瞬間由紀子の体がビクリと震えた。

三千万円をひとりで稼いでくるなんて無理に決まってる。

それをわかっていて、あんなことを言っているのだ。




「……できません」




由紀子が震える声で答える。

うつむいていたその目から涙がこぼれ落ちるのが見えた。

遊園地内で、もう何度もクレジット人間にされてきたのかもしれない。

ボロボロになったジャージがそれを物語っている。