「そうかもしれないけど、今は違うでしょう!?」




そんなの大人になってから考えるべきことだ。

そう思うのに、クマは少しも動いてくれない。




「それに、園内で不正を行っちゃいけないなんてルール、ないよ?」




クマがまた首を傾げた。

その言葉に背中がスッと冷えていくのを感じた。

確かに、今まで聞いてきたルールの中で不正をしないようにとか、暴力を振るわないようにといったものはなかった気がする。

ということは、この円の中では弱い者が淘汰されていくということ……?




「人間は腕力だけじゃない。頭脳もちゃんと使えばきっと切り抜けられる。それができない人間は企業にとってもいらない人間だ」




クマはそう言い放つと、スキップをしながら遠ざかっていったのだった。