それはきっとないだろう。

さっきのチームの子たちだって、白を切るに決まっている。




「で、でも、やられた子が証言するかも!」



「それならなぜその子はここに来ないの?」




それはきっと、怯えているから。

普段からイジメにあって、言いたいことを飲み込むようになってしまったから。

だけど、それがここで通じないことは薄々気がついていた。

不正だと言ってもクマがすぐに動こうとしないのが、その証拠だ。




「社会に出てから誰かにハメられるようなことがあったとして、その子は自分の言葉で助けを求めることができると思う?」



「それはまだ、わからないでしょ? ここは遊園地の中だし、私達は学生だし」




クマがやれやれという様子で左右に首を振る。




「それじゃダメだよ。社会に出れば責任だって大きくなる。いつまでも誰かに助けてもらおうとする人間は、いずれ落ちぶれる」