動物園コーナーから出てすぐの場所に運良く緑色のクマを見つけることができて、駆け寄った。

このクマを可愛いと思ったことは1度もないけれど、今だけは頼りにしている。




「ちょっとこっちに来て! ゲームで不正を見つけたの!」




私の言葉にクマは首を傾げている。

着ぐるみの中だから、声が聞こえなかったんだろうか?




「ゲームで不正をしているのを見つけたの!」




もう1度言うとクマはコクコクと頷く。

よかった、聞こえたみたい。

ホッとしたのもつかの間、クマは「だから?」と首を傾げて聞いてきたのだ。




「だ、だから早く注意しに行かないと!」



「注意? どうして?」



「どうしてって、不正は悪いことでしょう!? それでゲームに負けたんだから、なしにしてあげなきゃ!」



「なしに? どうして?」