そう呟いたのは智道だった。

陰から確認してみると数人の男女の姿があり、誰もが紺色のジャージを着ている。

違うのは胸につけているバッヂの形だ。

私たちはハートだけれど、相手は星型のバッヂをつけている。

やっぱりチームという意味があるみたいだ。

星型のバッヂをつけた子たちは全員で4人。

人数はこっちと同じだ。

星型チームの子たちの会話に耳を済ませていると、どうやらメリーゴーランドの中で目を覚ましたらしい。

私達と同じで動揺しているのがわかる。




「どうする? 声をかけて、出口に向かうか?」




「嫌よ。他の人のことなんて関係ないでしょ」




智道の提案を繭乃がバッサリと切り捨てる。

とにかく自分がここから出ることができればそれでいいみたいだ。

状況が状況だけに仕方ないと思っていたけれど、さすがにちょっと呆れてしまう。

あのチームだって、こちらと同様に困っているのに。




「ねぇ、早く行こう」




繭乃は星型のバッヂをつけたチームにバレないよう、遠回りをする道を選んだのだった。



☆☆☆



地図で確認した通り園の出口はジェットコースターを通り越したところにあった。

大きなアーチの下にキップ売り場と通路が見える。

太陽は徐々に上がり始めていて、今では園内の様子がよく見える。