最悪なのは由紀子が途中でババを引いてしまったことだ。

こうなるともう決着がついたようなものだった。

2人はゆうゆうと勝利し、由紀子が負けてしまう。




「お前、トランプもできねぇんだな」




最初にあがった男の子がバカにしたように由紀子の頭を叩く。

由紀子だって不正があったことに気がついていたはずなのに、なにも言えないまま俯いてしまった。

きっと、学校内で毎日のようにイジメられていて、ここでもなにも言えずにいたんだろう。




「あんなのずるいよ!」




思わず声を上げる。

由紀子のいるグループへ近づこうとすると、尋に腕を掴まれて止められてしまった。




「他のグループのことに首を突っ込むなよ」



「でも、ほっとけないよ!」