「それ、どうしたの?」




驚いて尋ねると「一本100円だったから、数分の労働で買えたけど?」と、ペットボトルを振って見せる。

そうか。

ペットボトルの飲み物程度なら簡単に購入することができる。

だから繭乃はいちいちゲームなんかせずに、自分で労働して手に入れたんだ。

繭乃の性格ならなんでもかんでも人に購入させようだけれど、そうじゃなかったみたいだ。

少なくても、今見ているチームほど悪くはないのかもしれないと思えてくる。




「なにニヤニヤしてんの? 気持ち悪い」




つい繭乃のことを見つめてしまって嫌な顔をされてしまった。

慌てて視線をさっきのチームへ戻すと、すでにババ抜きが始まっていた。

しかし、明らかに様子がおかしかった。

由紀子以外の3人が目配せをしあって、どこにババがあるか教えあっているのは明白なのだ。

由紀子から見てもそれはわかっているはずなのに、なにも言えずにいる。




「よし! あがり!」




ババ抜きを提案した男の子が一番に上って立ち上がる。

かと思えば、男の子が由紀子の後ろに立ったのだ。

ジャージのポケットから小さな手鏡を取り出したかと思えば、それで由紀子の手元を映し始めた。

残りの2人はそれを確認しながら行きこのカードを引いていく。

そうすると、当然2人の手札はどんどん少なくなっていく。