『わかったら遊べ! 好きなだけな!!』




スピーカーからクマの乱暴な声と笑い声が聞こえてきて、プツリと途切れた。




「ここからは逃げられない。無駄なことして体力を消耗したくないの」




繭乃に睨みつけられて私はなにも言えなくなってしまった。

繭乃のようにいとも簡単にこの状況に適応してしまうことなんて、私にはできないから。

走って疲れたせいもあってしばらく物陰に隠れて座り込んでいると、智道と尋がやってきた。




「ここにいたのか。大丈夫だったか?」




尋の言葉に私は曖昧に頷く。

私自身はまだ無傷だけれど、次にはどうなってしまうかわからないという恐怖が常につきまとっている。




「外にでるのは無理みたいだ」




重たい声色で言ったのは智道だ。

その顔は青ざめていて汗が流れ出している。

みんなで脱出を試みて、相当体力を消耗したのだろう。