「頑張って! ここから脱出して!」




両手をスピーカーのようにして声を張り上げる。




「ちょっとやめなよ。余計な体力を使うだけだって」




隣では繭乃が呆れ顔をしているけれど、関係ない。

私は懸命に声を張り上げて登っていく男の子たちに声援を送る。

その声は少しでも彼らの背中を押すことになったら、それでいいんだから。




「頑張って! もう少しだよ!」




何度目かの声をかけたときだった。

私の声は大きな音にかき消されていた。

耳をつんざくような、間近でバクチクを鳴らされたような音だった。

驚いて目を見開くと、一番上までよじ登っていた男の子が落下していくのが見えた。

え……?

男の子体は力なく地面に叩きつけられ、その瞬間血しぶきが散った。

なにが起こったのか理解が追いつく前に、再びパンパンパンッ! とバクチク音が響く。

その度にフェンスに登り始めていた男の子が落下していく。