『入場ゲートにいるみなさまに連絡です』




その声は着ぐるみのクマの声だった。

スピーカーを通すと更に気味の悪さを感じる機械的な声だ。




『脱出方法をお教えします』




私は目を大きく見開いて繭乃を見た。

クマがここからの脱出方法を教えてくれる?

それは本当に信用できるものなんだろうか。

緊張からゴクリと唾を飲み込んで次の言葉を待つ。

繭乃は面白くなさそうに唇を尖らせている。




『この遊園地から出るためには……ひとり一千万円をお支払いください』




クマの言葉にスッと血の気が引いていく。

ひとり一千万円。

4人で四千万円も支払えっていうの!?

途方もない金額にめまいが起きて、その場に座り込んでしまった。