「ここまでしてるのに……」




やっぱり、私達に逃げられないように頑丈な作りになっているんだろう。

こうして逃げようとしているのに、止めに入る人が来ないということはそう簡単には突破できないということだ。

ついさっき感じた希望がどんどん小さくしぼんでいく。

きっと、園内にいる子どもたちが全員集まったとしても、このシャッターを壊すことは難しいんだろう。




「ダイヤモンドでも手に入るんだね」




明るい声に驚いて振り向くと繭乃が園の地図を凝視していた。




「そんなものいらないでしょ」




目を輝かせている繭乃に吐き捨てるように答える。

人がひとり死んでいるのにそんなことを言うなんて、不謹慎すぎる。




「さっきの彼は一括払いだったから死んだだけ。分割払いにすれば死ぬこともなかったってことでしょう?」