あの子とは、死んでしまった男の子のことだろう。

ゲームに負けても一括払いにしなければ生きていたかもしれない。

過酷な労働が待っていたかもしれないけれど、それでも死んでしまうよりはマシだと思う。




「チームに問題があったとか?」




私はふと思いついたことをそのまま口にした。

それぞれのチームはどうやら顔見知り同士でできているらしい。

けれど全部のチームがみんな仲良しというわけでもないだろう。

自分たちのチームだって、繭乃や智道との接点は同じ高校ということだけだ。

そうやって選ばれたチームの中で、彼は元々立場が弱かったのかもしれない。

元に、目の前で死んだというのにチームのメンバーは悲しんでいる素振りも見せていなかった。

思い出すと胸が悪くなりそうな光景だ。




「なるほど。チーム内に上下関係があって、拒否できなかったか……」




尋がなにか考え込むような素振りを見せる。

だけど今の私にはそんなことどうでもよかった。

やっぱりこの遊園地は異常なのだ。

こんな大事故が起こったにも関わらず、スタッフたちは誰も出てこない。

対処する人が誰もいないのだから。