「それ……なに?」




質問する声が震えた。

こんなに恐ろしいこと、映画の世界でしかみたことがなかった。




「君たちは気にしなくていいよ。思う存分遊んで、好きな買い物をしてね!」




クマはそう言うとお兄さんを荷物のように肩に担いで歩き去ってしまった。

クマの後を追いかけたいのに体がいうことをきかなかった。

今、見たことがどれも衝撃的すぎて頭がついていかない。

風に漂って流れてくるのはジェットコースターに轢かれて死んだ男の子の血の匂いだ。

強い吐き気を感じて咄嗟に両手で口元を覆っていた。

すべての出来事がほんの数分間で起こったなんて信じられなかった。




「少し休憩しよう」




智道が静かな声でそう言ったのだった。