「そうだよ。何億もするダイヤを一括払い。だから、ああなったんだ」




クマが原型をなくした男の子へ視線を向ける。

男の子の体の下半分はジェットコースターの下敷きになってしまっていて、見えない。

しかし、頭部も完全に破損して脳症があちこちに飛び散っているので、すでに死んでいることは明白だった。




「あれがダイヤモンド?」




そう言ったのは繭乃だ。

繭乃の視線の先を追いかけると、さっきまでジェットコースターに並んでいた3人が立っていた。

その中のひとりが大きなダイヤモンドを箱から出して確認している。




「そうだよ」




クマが大きく頷いた。

あれだけの大きさのダイヤ、一体どれくらいしたのか見当もつかない。

園内では通常よりも値段が安くなっているようだし、それでも億を超えているのだから。




「あれのために人をひとり殺したの!?」




つい、声が大きくなってしまう。

確かにダイヤモンドを手に入れられることはすごいかもしれない。

だけど、それのために人命を失うなんて!!