「助けてください!」




それでも懸命に走ってクレープ屋の前までやってきていた。

「どうしたんだ?」

さっきまでと同じようにクレープを焼いていたお兄さんが驚いた表情を浮かべる。

私は息を整えながら簡単に事情を説明した。




「ジェットコースターに!?」




お兄さんは大きく目を見開いて、すぐに屋台から飛び出してきてくれた。

屋台をしている人たちはみんなアルバイトなのだろう。

不気味なクマのお面はかぶっていなくて、それだけで安心できた。




「こっちです!」




来た道を戻っていくとさっきよりもジャージ姿の子供たちが増えていることに気がついた。

みんな、なにかがあったのだと感づいたんだろう。




「嘘だろ……」




ジェットコースターの上にはまだ男の子が拘束された状態でいて、ジェットコースターはすでに頂上付近に到達してしまっている。

後少し進めば急降下だ。




「おい! 止まれ! 止まれよ!」




お兄さんが叫びながらジェットコースターの係員室へ急ぐ。

ドアノブに手をかけるが、やはりしっかり施錠されているようでびくともしない。

それでもどうにか開けようと足で何度も蹴り始めた。

ガンッ!ガンッ!と乱暴な音が周囲に響く。