「早く助けないと!」




智道が叫ぶけれど、自分たちにできることなんてない。

ジェットコースターの管理室を覗いてみても誰の姿も見えなかった。

「なにしてるの!? 降りてきて!」

必死になって声を張り上げるけれど、レールの上の男の子はもぞもぞと動くだけで返事もしない。

目を細めてしっかり見てみると、男の子の体はロープで縛られた状態でレールの真ん中に、横向きにして寝かされているのがわかった。

声も、出せない状態なのかもしれない。

愕然としたそのときだった。

誰も乗っていないジェットコースターがガタンッと大きく音を立てて突然動き出したのだ。

ジェットコースターはガタンガタンと音を鳴らして進んでいく。




「動いてる!!」




思わず悲鳴がほとばしった。

男の子がいるのは一番急下降しているレールの上だ。

ジェットコースターの速度も急加速しているはずで、そのまま轢かれてしまったらどうなるか……!




「誰か止めて!」




ジェットコースターに係員がいなくても、他の場所にはいるはずだ。

けれど、いくら大声で叫んでも誰も来ない。