「ここ遊園地だよ? ちょっとくらい遊ばないと損だって!」




お腹が満たされたら今度は遊びたくなったみたいだ。

船型の絶叫マシーンに駆け寄って値段を確認すると「ひとり100円だって!」と大声で伝えてくる。

さっきのクレープが200円だったから、その半分の労働で乗ることができるということだ。




「価格設定が低いのは、俺たちに労働してもいいと思わせるためなんじゃないか?」

「だからなに?」




智道の言葉に繭乃は首を傾げている。




「それが相手の考えている罠かもしれないってこと」



「罠? なんの?」




キョトンとした表情でそう聞かれて智道は黙り込んでしまった。

とにかく遊園地の思惑通り動くのはよくないと伝えたいのだけれど、うまくいかなくてもどかしい。




「さっきだって普通に働いて食べれたんだ。きっと大丈夫だって」




繭乃の肩を持ったのは尋だ。

警戒心の強い私と智道を見て少し呆れているのがわかる。