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三角バッヂのチームと別れた私たちは芝生広場のベンチに座って休憩をとっていた。

園内を回ってフェンスを確認してみたけれどどこにも切れ目は見当たらなかった。

更にこの遊園地は森に囲まれていることがわかり、どこから逃げようとしてもカラスが襲ってくるようになってみるみたいだ。




「本当に逃げ道がないなんて……」




歩き疲れたこともあって、私はベンチに座ってぐったりと首を垂れる。

太陽は真上に登ってきていて、ジリジリと気温も上がってきている。

春や秋ならまだよかったけれど、今は7月中旬。

もうすぐ真夏の熱さにもやられることになるだろう。




「ねぇ、お腹すいた」




さっきまで水道の水を飲んでいた繭乃が不機嫌そうな表情で呟く。

ここへ来てから水分しかとっていないのだからお腹がすいても不思議じゃない。

昼時ということで園内にあるレストランや屋台からはいい香りが漂ってきていて、余計に食欲をそそる。




「あ、あのクレープおいしそう」




繭乃がふらふらと屋台へ向けて歩いていく。




「おい、勝手な行動はしないほうがいいって」




智道がすぐに繭乃を追いかけていく。

わがままな繭乃だけれど、智道からすれば大切な彼女だ。

やっぱり心配なんだろう。