「労働した対価として商品が与えられる。これは社会見学のひとつなのかなって、思ってるんだけどね」




女の子がぽつぽつと、自信なさそうに自分の意見を口にする。




「社会見学か。それもあるかもしれないな」




智道が肯定する。

けれど私達はもう高校生だ。

社会見学というならば、普通にアルバイトをするほうがしっくりくる。

こんな風に無理やり閉じ込められてやるようなことじゃない。




「はい、できあがり」




女性が大橋くんの肩をポンッと叩いて立ち上がる。

見ると怪我をした場所にはガーゼや包帯が巻かれていて、ちょっとだけ痛々しい姿になっていた。




「ありがとうございました」




女性に頭を下げて外へ出ようとした、その手首は掴まれていた。