「安心して。今日はこれを渡しに来ただけだから」




クマはそう言うとダイヤモンドを差し出してきた。

だけど私も智道もそれを受け取ろうとはしない。

クマは首を傾げている。




「3億円のダイヤモンドだよ? いらないの?」




3億なんて途方も無い金額だ。

浮浪者のような生活をしている私達には想像もできない金額。

それが今、目の前にある。

私はゴクリと唾を飲み込んで美しい輝きを見つめた。

これだけあれば一生遊んで暮らすことができる。

大きな家を持って、悠々自適な生活を送ることができるんだ。

また、ゴクリと唾を飲みこんだ。




「繭乃と尋はどうした?」