「嘘だろ」




ここにれば安全なはずだった。

誰にも合わず、誰とも関わらずにいれば大丈夫だと思っていた。

それなのに……。

私と智道の前に姿を見せたのは、緑色のクマだったのだ。

クマは外れて壊れたドアの向こうからこちらを覗き込んでいる。




「なんで……っ!」




咄嗟に逃げ出そうとしたとき、クマがこちらになにかを差し出してきた。

それは窓から差し込む光でキラキラと輝いている。

直視できないほどに美しい……。




「おめでとう。3億円のダイヤを取得したよ!」




クマの声に私は中腰のまま動きを止めた。

ダイヤモンド……?

クマはぼふっぼふっと音を立てながら室内へと入ってくる。

智道が私の前に立ちはだかった。