男はなぜ私達に電流がきかなくなったのか理解できず、焦っている。

額からは大粒の汗が流れ出ている。




「番号を教えて」



「0812」




その答えに呆れてしまった。

私達が出てきたドアと同じ暗証番号だ。

それではきっと脱出者を他にも出してしまうことになるだろう。

電流さえ回避することができれば、あとはどうってことはない。

この施設は穴だらけだ。

そうとわかるとあとは行動あるのみだ。

私と智道はクマの着ぐるみを身に着けると、尋と繭乃の前に立った。

ふたりは不安そうな表情を浮かべている。




「なにするつもりだよ」




尋の質問に答えるつもりはなかった。

私達がどれだけひどい目に合ったのか、体感させてやるつもりだ。




「歩け」