「すみません、怪我人です」




智道がドアをノックして返事を待つ。

すぐにドアが開いてクマの仮面をかぶって白衣を着た女性が出てきた。

不気味な緑色の仮面に一瞬驚いたけれど、中の様子はいたって普通だ。

患者用のベッドど、薬品棚、デスクに椅子。

学校の保健室によく似ている。




「あら大変。血が出ているのね」




仮面をかぶった女性はすぐに大橋くんの怪我に気がついて救護室へ入るように促す。




「消毒と包帯と、痛み止め。これでよしと」




女性は手際よく棚から必要なものを取り出すと、大橋くんをベッドに座らせて処置をしはじめた。

馴れた手付きにひとまず安心する。

これで大橋くんの怪我は大丈夫そうだ。

大橋くんが手当をしてもらっている間に三角バッヂのチームとこの園についての情報交換を行ったが、まだあまりよくわかっていないとのことだった。

私達と同じように暗い間に目がさめて、外にも出られず、クマの着ぐるみに説明を受けてから、園内の他の出口を探していたということだ。