そう聞くと智道は肩をすくめて「やっぱり、園内にはないんじゃないか?」と、答えた。

「あるとすれば施設内。死体を解体して、それを外へ運び出さないといけないから、外に通じるドアがあるはずだ」




その言葉に私は目を見開いた。




「もう1度施設内に戻るってこと!?」




思わず声が大きくなってしまい「しーっ」と智道が口元で人差し指を立てた。

だって、そんな。

今死ぬかも知れない思いをして施設から出たところなのに!




「だから、ちゃんと準備してから戻るんだ」



「準備って?」



「もちろん、脱出するための準備だ。それでちょっと考えたんだけど――」




そこまで言って智道は言葉を切った。

脱出するための準備があるのなら、早く行動にうつしたい。

それなのに智道は口を半開きにして私の後方を見つめている。




「なに? どうしたの?」




ききながら振り向いて私も同じように絶句してしまった。

そこにいたのは繭乃と尋、その後ろにはクマの着ぐるみが立っていたのだから。