「早く降りてきて! そのカラスたち、なんか変だから!」




もしもこの遊園地で飼いならされているカラスだとすれば、人間を攻撃するように仕向けられているかもしれない。

カラスたちの攻撃は、フェンスから大橋くんが落ちるまで続くだろう。

大橋くんもようやく自分が危機的状況にいると察したのだろう、ゆっくりとフェンスを折り始めた。

半分ほど降りてきたところで、カラスはなにかに操られるようにして森の中へと戻っていった。




「血が出てる」




地面に戻ってきた大橋くんの手足は出血していて、ジャージもあちこち穴が空いている。




「これくらいなら大丈夫」



女の子の言葉に安心させる言葉をなげかけながらも、痛むのか顔をしかめている。



「この近くに救護室があったはずだ。行こう」



智道を先頭にして、私達は歩き出したのだった。