監視が後ろから命令してくるけれど、私達の足は動かなかった。

部屋に入れば最後。

1日の仕事を終えるまで外へ出ることはできない。

それがわかっているから体が動かなくなってしまっていた。

背中に冷や汗が流れていく。

隣の智道も緊張しているようでさっきから表情がこわばっている。




「おい!」




なんの反応も見せない私たちに監視の怒鳴り声が飛んでくる。

と、その瞬間だった。

智道が振り返ったかと思うと、右手を大きく振り上げ、そして振り下ろしていた。

次には監視の頬にサックリと切り傷ができて血が流れ出す。

監視が呆然としている間に智道は隠し持ってたメスで監視の首筋を切り裂いた。

監視はようやく自分がなにをされたのか理解したようで、大きく目を見開いてその場に崩れ落ちる。

切れ味のいいメスは監視の皮膚を簡単に傷つける。