『いや! 行きたくない!』




そう言いたいのに、夢の中の私は声を出すこともできずに、言われるがままについていく。

目の前にクマが現れたとき、その手にカマが握りしめられていることに気がついた。

カマはもう何人も子供たちを殺してきたように、真っ赤な血に染まっている。

私の体は冷え切って動けなくなる。

微笑んでいる両親たちの脳天にクマがカマを突き立てた。

両親の頭はパックリと割れて血が流れ出す。

そのまま前のめりになって倒れたとき、ようやく目が覚めた。

ハッと息を飲んで上半身を起こすと、全身が汗だくになっていることに気がついた。

両手がカタカタと震えていて止まらない。

心臓はまだ早鐘を打っている。

私はまだ眠っている香菜たちを起こさないようにそっとシャワー室へ向かった。

外で服を脱ぎ、少ししか出ない水に体を当てる。

本当はもっと一気に汗を流したかったけれど、それもできない。

今は夏だからいいけれど、これが冬だととても水浴びなんてできないだろう。

少ない量の水でどうにか汗を流した私は、そのまま元のジャージを着込んだ。

タオルもなにもないのだから仕方がない。

自然に乾くのを待つしかない。