「どうかな? 学校では友達なんていなかったし、家は冷めきってたし。唯一好きだったのは近所の公園でブランコに乗ること。そこに座ってるとね、夕方鳥たちが自分の家に戻っていくのが見えるの。それを見てると、なんとなくあぁ、私もそろそろ帰ろうかなって思える。帰ったところで、待ってるのは誰もいない家なんだけどね」





香菜は一気に話してははっと笑う。




こんなに自分のことを話したのはここへ来てから始めてだったようで、頬が少し赤くなっている。

誰にでも色々と苦労や思う所はあると思う。

香菜はそれが少し大きいみたいだ。

でも、少なくてもここへ連れてこられる前は家に帰ろうと思えていたらしい。

それが、ここでの生活を続けるうちにどうなってもいいに変化したんだ。

毎日死体を解体していれば、そんな風にも思うだろう。