微かに漂ってくるすっぱい匂いは汗の匂いだろうか。

部屋の奥へ進んでみると衝立があり、その中には水洗トイレがあった。

換気扇はその上に取り付けられている。

トイレの横にはシャワーが設置されていたけれど、タオルや石鹸といったものは見当たらなかった。

更にトイレもシャワー室も衝立で遮られているだけで、段差もなにもない。

小さな排水口はあるけれど、ここでシャワーを浴びたら床は水浸しだ。

試しにシャワーの蛇口をひねってみたけれど、冷たい水が微かに流れてくるだけだった。

これじゃ体臭がきつくなっても仕方ない。




「最低でしょ?」




突然後ろから声をかけられて悲鳴を上げそうになってしまった。

振り向くとショートカットで背の高い女の子が立っていた。




「私は香菜。チームの子に裏切られて一週間前からここで働いてる」



「チームの子たちは今どうしてるの?」