智道はどうにかドアを開けようと殴りつけ始めた。

しかし、そんなことで開くようなドアではない。

園内からだって逃げることはできなかったんだから。

案の定、智道には腹部の機械から電流が流されたようで、悲鳴を上げてうずくまってしまった。

こうしてもたもたしていたら、また動きを操られるんだろう。

私は大きく息を吸い込んで目の前のベルトコンベアーを見つめた。

隣の部屋とつながってるけれど、荷物が流れてくるときにだけ壁に少しのスペースが開くようになっている。

今はすでに閉じられていた。

私の後ろには道具が並んだ壁があるだけで、出口は智道の後ろにある一箇所だけ。

ここから逃げることは不可能だ。

私は視線をビニールへ移動させた。

こんなことをするならいっそ最初から最後まで体の動きを制御されていた方がマシかもしれない。

自分の手で、人を解体するなんて……。

そっと手を伸ばしてビニールに触れる。

それを見ていた智道が口を手でおおった。

見たくないのか、顔をそむけてしまった。

私はビニールの端をつかんでゆっくりと持ち上げる。

ビニールがズズッと音を立ててめくれ上がっていく。

足が見えた。

青白くて生気のない、もう二度と動くことはない足。

次に腰、両手、胸。