「嘘でしょ……」




このビニールの下にいるのがなんなのか、もうわかってしまった。

同時に足元に置かれている保冷バッグとドライアイスの意味。

そしてバッグの側面にあったハートマークの意味が徐々に理解できはじめる。

それだけで足元が震えだして、立っていることがやっとの状態だ。

全身寒気に覆われているのに、手のひらにはぐっしょりと汗が滲んでいる。




「おい……これをどうしろっていうんだよ!?」




誰もいない部屋の中。

智道が頭を抱えて叫ぶ。

額からは大量の汗が吹き出していた。

その質問に答えるように、モニター上に人影が現れた。

その人はクマの面をつけて、黒いスーツをきている。

一見して男性のようだ。




「今からその子の心臓を取り出して、保冷バッグへ入れる解体作業を行ってもらう」




男の声は着ぐるみのクマと同じ機械的な音声だった。




「嘘でしょ。そんなことできない!」