「よくそんなひどいことが言えるな」




智道がふたりを交互に見て震える声で言った。




「よく言うよ。自分だって裏切られてたくちなのにさ」




尋がバカにしたように鼻で笑う。




「ゲームをダーツに決めたのだってふたりで仕組んでたんでしょ!?」



「それは違う。ダーツに視線を落としてたから、そうするかって聞いたんだ」




あのとき、私は頭の中でダーツがいいんじゃないかと確かに考えていた。

だけどそれはみんなが平等にできるゲームだと思ったからだ。

尋は私の視線の動きを見逃すことなく、背中を押した。

ふたりにはまだいいたいことが山程あった。

だけどそんな時間も負けた人間には与えられない。




「さぁ。行こうか」




クマに促されると体に微量の電流が流れる感覚がして、次の瞬間には自分の足でクマについて歩きだしていたのだ。

途中で逃げ出そうとしても、体がいうことをきいてくれない。

心と体がバラバラになってしまったような気持ちの悪い感覚。