「そう。ちょうど一ヶ月前だったな。俺が友達とダーツで遊んでたところに繭乃が来たんだ」



「ダーツはしたことないって言ってたくせに!」




思わず声が荒くなる。

なにもかも嘘だった。

私はずっと前から裏切られ続けていたんだ!

その事実が体にずっしりとのしかかってくる。

信じられないし、信じたくない。

だけど、今尋が話していることはすべて事実なんだ。




「悪いな恵利。本当は中学校の頃から兄貴と一緒にやってたんだ」




それならかなり上達していても不思議じゃなかった。

こんな状況にあっても尋は冷静にゲームをすることができただろう。

それは点数を見ても一目瞭然だった。




「私がダーツを始めたのは尋と出会ってから。でも、尋の教え方が上手だったからすぐに上達した」




繭乃が勝ち誇った笑みを浮かべる。

悔しくてギリギリと奥歯を噛みしめる。




「どうしてこんな女なんかに……」




そう思わずにはいられない。

こんなクズ女に尋が惹かれたなんて、そして私が負けてしまっただなんて思いたくない。