「でも、智道は彼氏でしょう!?」



「彼氏だからなに?」




繭乃が一歩私に近づく。

その威圧感に押されて一歩後ずさりをしてしまう。




「こんなところで彼氏も家族もないんじゃない?」




そんな……!




「恵利はいつでもそうだ。ちょっと考えが生ぬるいんだよ」




そう言って繭乃の肩に手をかけたのは尋だった。

尋は繭乃の首筋に顔をうずめている。

繭乃もそれを拒絶しない。




「なにしてるの……」




声が震えた。

遊園地に入ってからふたりの仲が急接近していることにはなんとなく気がついていた。

でも、ふたりの距離感がそんなものじゃない。

もっと長い付き合いがあるように感じられる。