「戻ってきたぞ」




しばらく歩いてクマはようやく私を解放してくれた。

それでもまだ微かに電流を流されているようで、体が思うように動けない。




「ここからは逃げられないってまだわからないわけ?」




足を組んでベンチに座っていた繭乃は呆れ顔だ。

その横には尋もいるけれど、こちらを見ようともしない。

ベンチには座らずにへたり込んでうつむいているのは智道だ。

顔色は悪く、生気もない。




「大丈夫?」




私は繭乃の言葉を無視して智道に声をかけた。

智道は少し顔を上げただけでなにも言わなかった。

あんなに私のことを心配してくれていたのに……胸の奥がギュッと痛む。

どうにかして智道だけは助かって欲しい。

私の心はとっくに尋から離れてしまっていた。




「私、ダーツをする」