クマが一歩一歩近づいてくる。

このクマの着ぐるみは園内に何体もいるのだろう。

あちこちから同じ着ぐるみが姿を見せ始めた。

全身に冷や汗が流れて足がガクガクと震えだす。

これだけのクマに取り囲まれたら連れ戻されてしまう!

逃げようと振り向いたその先にもクマがいた。

手を伸ばし、私の腕をつかもうとする。

寸前のところで隙間を縫って駆け出した。

逃げなきゃ。

逃げなきゃ!

それでも体力はもう限界だ。

ここまで全力で走ってきたこともあって、足は思うように前へ出てくれない。

よろよろと何歩か進んだところで倒れ込んでしまった。

すぐさまクマが私を取り囲む。




「さぁ、ゲームへ戻ろうか」