「逃げろ」



小さな声で囁く。

え……。




「ゲームに参加するな。逃げろ!」




大きく目を見開き、智道を見つめる。

その目は真剣そのものだ。

私は唾を飲み込んで頷く。

そうだ、ゲームなんてしなくていい。

こんなもの、参加する必要ない!

私は弾けるようにしてその場から駆け出した。

今までにないくらいに全力で走る。

何度も足が絡んで転けそうになりながらも必死で、前だけを向いて走る。

後方では繭乃と尋のふたりが文句を言っているのが聞こえてくるけれど立ち止まる気はなかった。

きらびやかに輝く園から脱出するために走って走って、シャッターが降りているアーチが見えてきたところでようやく足を止めた。