「ほら、次は恵利の番だ」




智道と共に座りこんでいたところに尋の声が聞こえて視線を上げた。

尋はすでに勝ち誇った笑みをたたえていて、その手にはダーツの矢を持っている。

早くゲームを終わらせて労働へ行けと言われているような気がした。

胸の奥がムカムカして、吐いてしまいそうだ。




「尋は……こうなることを知ってたんだね?」




訊ねる声が震えた。

こんなこと考えたくはないけれど、尋は私を裏切ったんだ。




「なんのことだよ?」




しらばっくれるように首をかしげているけれど、笑みは浮かんだままだ。

自分の勝利が確定しているから、私のことなんてどうでもいいんだろう。




「私達……付き合ってるんだよね?」