「仕方ない。やるしかない」




自分に言い聞かせるように呟く智道の手は、肉眼で見てはっきりとわかるほどに震えている。

こんなんで矢を投げられるわけがない。

止めようとしたけれど、それより先に矢が投げられていた。

力の抜けた手で投げた矢は心もとない動きで飛び、20点のところに突き刺さった。

それを見た智道がその場にへなへなと座り込んでしまう。




「大丈夫!?」




慌てて駆け寄ると、智道は真っ青な顔で左右に首を振った。




「もうダメだ。俺はゲームに負けた」



「ま、まだわからないよ」




最後に残っているのは私だ。

私は正真正銘ダーツの初心者だし、智道よりも点数が低い可能性は残っている。