「次が最後」




クマが粘ついた声で言って智道に最後の矢を渡す。

智道は震える手でそれを受け取った。

この矢ですべてが決まってしまうような、そんな緊張感が漂ってくる。




「こんなのおかしい。なにか変だよ」




智道が投げる前に私はそう言っていた。




「おかしいってなにが?」




早くゲームを勧めてほしいのか、繭乃が眉間にシワを寄せて聞いてくる。




「だって、みんな初心者のはずなのにここまで点数に差がでるなんておかしいじゃん!」




あきらかに繭乃と尋のふたりはダーツに慣れている。

智道を見ているとそう思わざるを得ないのだ。




「何言ってんの? 私達がダーツを選んだわけでもないのに?」




そう言われると言い返せない。

確かに、私はダーツをすることを強要されたわけじゃない。