繭乃は必死で声をかけているけれど、自分はすでに安全圏にいると思っているのかその声はどこか軽さを感じる。

もともと、本当に智道のことが好きだったのかも怪しい人だ。

それでも智道は勇気をもらったのか、2投目を投げた。

矢はまっすぐに飛んでトンッと軽い音を立ててダーツ版に突き刺さる。

やった!

当たった!

喜んだのもつかの間、ダーツの矢は10点のところに刺さっていた。




「いい調子!」




繭乃が調子よく声をかけているが、智道の顔は真っ青だ。

これじゃ次に50点を撮ってもトータル60点にしかならない。

私がどれだけ点数を取れるかわからないけれど、絶望的な数字であることには間違いなかった。