今までのゲームを見てきた智道が呟いた。

ふたりとも初心者だったけれど、3回のトータル得点は100点を超えてきている。

それを基準にしてプレイするみたいだ。




「頑張って!」




繭乃が横から智道に声をかけている。

智道は小さく頷くと、クマから矢を受け取った。

そして白線の手前に立って深呼吸をする。




「1投目!」




クマの言葉に智道の視線がダーツ版へ向かう。

何度か手首を揺らして矢を構える。

そして勢いよく投げた。

しかし力加減が間違っていたのか、矢は右にそれてダーツ版の右側の壁にぶつかって落下してしまった。




「嘘でしょ」




思わず呟く。

繭乃や尋は簡単にダーツ版に当てていたから、まさか0点なんてことがあるとは思っていなかった。