「待てよ!!」




尋が慌ててクマの後を追いかけるが、クマはスタッフオンリーを札のかかったドアの中へ入ると、鍵がかけられてしまった。




「なんだよ、くそっ!」




尋が乱暴にドアを蹴って舌打ちをする。




「他に出られる場所がないか探してみるしかないな」




智道は繭乃がもらったパンフレットを隣から覗き込んでいる。

私も同じようにパンフレットを確認してみたけれど、正規の出入り口はここにしかないみたいだ。

残る可能性は園を取り囲んでいるフェンスを乗り越えて脱出する方法くらいか。

そう考えていると繭乃が「すごい!」と、明るい声を上げた。

急にどうしたのかと思えば、パンフレットに書かれている店名に釘付けになっているみたいだ。

「この遊園地、有名ブランドのお店が沢山入ってる!」

繭乃が言うように、知らない人はいないようなハイブランド品を取り扱っているお店があちこちにあるみたいだ。




「こっちには宝石店があるね。ここ、本当に遊園地?」




私は首を傾げて誰にともなく呟いた。

ブランド品も宝石も、遊園地で購入するような商品じゃないと思うけれど……。




「元々ここに俺たちを監禁したんだ。普通の遊園地なんかじゃないさ」