「ねぇ……ちょっと、待ってよ」




数歩ふたりに近づいて声をかける。

けれど私の声は届かない。

ふたりは完全にふたりの世界に入り込んでしまっているようだ。




「くそっ」




そのとき智道が舌打ちをして大股でふたりに近づいた。

そして繭乃の肩を叩く。




「待て。俺たちも参加する」



「いいの?」




繭乃が楽しげな表情で振り向いた。

繭乃の思い通りの展開になっているような気がして、私は唇を引き結んで視線を外す。