「嘘を本当だと信じ込んで希と別れたのは智道でしょ」




繭乃の顔が愉快そうに歪む。

希というのは智道の元カノみたいだ。

繭乃は智道と付き合いたくて、希の嘘を吹き込んで別れさせた。

そして自分が付き合うことに成功したのだろう。

どこまでも貪欲で、自分の手に入れたいものは必ず手に入れる。

そんな繭乃の性格がどんどん顕になっていく。




「そんなことしたなんて、最低」




ため息交じりに吐き捨てる。

「あんたなんてどうせ自分が欲しいと思って



も我慢するんでしょう? 手を伸ばせば手にいれることができるのに、ばっかみたい」