私は強いめまいを感じてよろめいてしまった。

3億円のダイヤ!?

それはショーケースに入っていたあの大きなダイヤモンドのことを言っているのだと、すぐに理解した。

あんなものを欲しがるなんてどうかしてる!




「ダイヤモンドをお金に変えて4人で脱出する。それでも金は充分に余るってことか」




尋が考え込むように顎に手を当てた。

その様子に焦りが湧いてきた。

まさか、本当に3億円のダイヤモンドを購入する気だろうか。




「ダイヤモンドなんていらない! いくらクレジット人間になって労働したって、何年かかるかわからないでしょう!?」




必死になって説得するけれど、繭乃は目を輝かせたままで聞く耳を持とうとしない。