繭乃に加勢するように言うと、クマは首を傾げてこちらへ視線を向けた。

生気のない作り物の目に捉えられて足先が冷たくなる。




「外に出るためにもお金が必要だよ」




クマの言葉に唖然としてしまう。




「なんだって?」




隣の尋も声色を変えた。




「だから労働は必ず必要なんだ!」




クマは楽しい遊びを提案している子供みたいに飛び跳ねる。

その動きが不快さを増していく。




「でも大丈夫!」




なにかを質問するより先にクマが次の言葉を発していた。

今や誰もクマの言葉を遮ろうとはしない。

クマはこの遊園地内において大切な説明をしているのだと、誰もが理解していた。




「自分が労働したくらいときは、チーム内で決められたゲームを行い、ゲームに負けた人に働いてもらうことができるよ!」